100年後の学生に紹介する!『月世界旅行』
2,112年の学生に映画を2,112本紹介致します、という設定のブログ。
No.0016『月世界旅行(1902年・フランス)』
Le Voyage Dans La Lune
[FOR A.D.2,112]
現代の映画の基となるものを発明したのは、フランス人のリュミエール兄弟だと言われています。それは、現実の動きを切り取る箱であり、過去を残せる箱でした。この現実じみた箱を、より奇術じみた劇場型へと変えた一人が、同じくフランス人のジョルジュ・メリエスです。彼は映画で町を撮影している際に、ある発見をしました。撮影中に途切れたフィルムが繋がって上映されると、モノがパッと現れたり、消えたりする演出が可能になるのです。この発見を武器に、マジシャン経験があったメリエスは続々と作品を発表します。人がパッと消える、パッと現れる、モノが人に変わる・・・などなど。こうした試みから、彼は後にSFXの元祖とも言われるようになります。
今回紹介するのは、彼の最も有名な作品『月世界旅行』です。ジュール・ベルヌの原作よりかなり非現実的なストーリーと演出になっていますが、まさにそれこそ、メリエスらしいと言えるでしょう。2,012年の日本でも、たまにサイレント映画のイベントでプログラムに組み込まれることがあり、活動弁士さんの語りが入ることもあります。やはり、見た目が面白いので、初期映画の入門編としても受けいれられやすいのでしょう。先日のイベントでは、月世界旅行の染色版(昔カラーにするにはフィルムに色をつける必要がありました)が見つかり、有名なロケットが月に突き刺さるシーンで、月面の顔(観れば判ります)に血の赤が塗られていたという話が、活動弁士さんから紹介されていました。古い映画は、2,012年の今も新しい発見や、発掘が行われているのです。
100年後の皆さんも、興味あれば鑑賞されたし。
Written by kiyasu
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[OLD DIARY]
大学で借りた映画本の特典で観たのが最初。その他、パブリックドメインということもあり、動画投稿サイトでよく見かけました。
[RECOMMEND]
原作小説も、少年時代にワクワクしながら読みました。ただし、こちらを読んだ後で映画を見ると、色々と唖然とすることでしょう。
FOR A.D.2,012 : ★★★
FOR A.D.2,112 : ★★★★