100年後の学生に紹介する！『フルメタルジャケット』

2,112年の学生に映画を2,112本紹介致します、という設定のブログ。

No.0017『フルメタルジャケット（1987年・アメリカ）』

Full Metal Jacket

[FOR A.D.2,112]

『フルメタルジャケット』は、"完璧"と例えられるスタンリー・キューブリック監督による人気作の一つです。キューブリック監督が得意とする、人間の野蛮性や狂気がいかんなく描かれています。

ハートマン軍曹による訓練シーンは特に有名で、2,012年の日本では、インターネットの大型匿名コミュニケーションサイトの中で、ときたまこのハートマン軍曹がネタとして登場します。先日、ニコニコ動画という動画コミュニケーションサイトで、映画配信が開始されましたが、開始直後に最もコメントや視聴者を集めていたのは、この『フルメタルジャケット』でした。それだけインパクトがある役柄であり、また、ネタにしやすいテンポがある演出となっています。2,112年の方々にも一見の価値があるのではないでしょうか。

もともと、ハートマン軍曹を演じた、ロナルド・リー・アーメイ氏は実際に海兵隊の指導官という経歴があり、本作では演技指導として参加していました。しかし、キューブリック監督に見出され、実際にハートマン役をすることになりました。本作の前では『地獄の黙示録』、その後は、『トイストーリー』シリーズ、『セブン』など、軍・警官関係の役柄で広く出演しています。2,002年には、実際に一党軍曹まで名誉昇進しました。

尚、いくつか補足をしておくと、飛行機嫌いのキューブリック監督に合わせ、撮影は全てロンドン北東30マイル以内で撮られました。つまり、訓練地もベトナム廃墟も全て、そこで撮られたのです（例えば廃墟は工場を意図的に壊して作られた。全て写真資料を参考にしているとか）。また、先に公開された『プラトーン』を引き合いに出した批評が多く見られました。2,012年現在、ベトナム戦争を描いた作品は映画史的にも重要になっており、そういった視点で観るのもよいでしょう（ただし、『フルメタルジャケット』は、私的には、ベトナム戦争よりも、戦争と人間の狂気をえぐり出すことに重視した作品だと思っております）。