100年後の学生に紹介する!『時をかける少女』
2,112年の学生に映画を2,112本紹介致します、という設定のブログ。
No.0022 『時をかける少女(2006年・日本)』
THE GIRL WHO LEAPT THROUGH TIME
[FOR A.D.2,112]
2,012年現在、『時をかける少女(2,006年)』の細田守監督は、確実にファンを増やしつつある監督の一人です。最近の作品で扱っているテーマは青春・大家族といった、2,000年代では一見地味な題材。これに、多くの観客を呼び込む力量には感嘆させられます。本項目を書いている時点では公開されていない新作、『おおかみこどもの雨と雪』は、恋愛・結婚・出産・子育て・子供の自立までを扱っていくと宣伝されています。商業的に考えれば、「クール」「萌」が無難になりつつある2,000年代のアニメ文化において、こうしたテーマで制作する決断をプロデューサーが出せる状態にさせられるだけでも、驚異的と言えるでしょう。
私が考えるに、細田監督は、現代の観客に受けるよう、作品のパーツを考え、組み立てるのが飛びぬけて上手い。同年代の作家が使い過ぎているパーツ、使わないパーツを整理して、新鮮な作品を作っていると言えるでしょう。これは、先ほど述べた、テーマの取捨選択だけに留まりません。細かい例でいえば『時をかける少女』の場合、文系の普通高ではなく、工業高校風の舞台にしたことも、観客の感情移入に一役かっていると言えるでしょう。近年の作品で、工業高校で描かれる青春作品はあまりありませんでした。それ以外の舞台でも、青空・草むら・土・夕日といった心や体を豊かにさせる王道のパーツから、サイバー空間といったギャップのあるパーツまで、魅力は尽きない組み立てられ方がされています。最終的には、アニメでありながら、どこか古き日本の実写映画を連想させる演出にまで繋がっていると言えるでしょう。
同時代のアニメ作品に比べて、殆どキャラクターに影が書かれていない、というのも、ある意味、新鮮さを生みだしていると言えるでしょう。
さて、今回紹介する『時をかける少女』は、『デジモンアドベンチャーぼくらのウォーゲーム』や『ワンピース オマツリ男爵と秘密の島』などで評価を得てきた細田守監督がブレイクするきっかけとなった作品。83年に大林宣彦監督によって映画化された『時をかける少女』の続編的扱いとなっています。当初は全国で6館だけの上映でしたが、口コミにより大ヒットした稀有な作品の一つです。私が本作で最も好きなのは、変に思われるかもしれませんが、土が入った瓶がが映るシーンであります。
100年後の皆さんも、興味あれば鑑賞されたし。
Written by kiyasu
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[OLD DIARY]
テアトル新宿で鑑賞した、はず。
[FOR A.D.2,112]
500円であればこちら。
紹介映画のお薦め度
FOR A.D.2,012 : ★★★★
FOR A.D.2,112 : ★★★