『風立ちぬ』 100年後の学生に薦める映画 No.1700
100年後の学生に映画を2,112本紹介致します、という設定のブログ
MOVIE No.1700『風立ちぬ』
2013 日本
[FOR A.D.2112 未来の学生に向けたレビュー]
宮崎駿監督の最新作。他の作品の方が感情移入できる点では劣るし、未来の学生に本作を最初に観てほしくないのだが、ともあれ、明らかに他の作品には無い「分厚さ」がある。この分厚さがある以上、評価を上げざるを得ない。戦争の描き方、震災の描き方、どれをとっても、今後、このような作品を作れる監督は生まれない。日本の宝のような作品である。
以下に纏めるのは、筆者がある友人の質問に答えた文章である。鑑賞後すぐに書いたもので、後から色んな批評を読んで勉強不足に感じた箇所もあるが、原文のままとする。
■友人からの質問
あれを見て女はどうすれば良いのだろうか?という気持ちにはなるよね。男性は夢を追えば良い。女子にとって、元気、やる気、勇気な作品ではない。
■私の答え
この映画の骨子から自分なりに答えてみたいと思う。
まず、本作の骨子を纏めると、
「疑問や矛盾や不条理をかかえながらも、律儀に真面目に生き抜い
…という映画である。
次に、上記に纏めた
言葉を少し深堀りする。
1.疑問や矛盾や不条理
・殺戮兵器を作っていること
・子供にお菓子挙げようとして断られたりとか
・そして「愛した人の死」
2.生き抜いた姿
・黄金期(10年間)を走り抜いた後までも、最後まで律儀に真面
・夢に出てきた死んだ妻の「生きて」という言葉が、ダメ推しをし
・主人公の「生き抜く姿」の対比として、過ぎ去った過去の象徴が
この2点から、本作は「疑問や矛盾や不条理をかかえながらも、律
そんな演出意図により、●●さんの言う通り、
このヒロインに感情移入しようとしても、
あまりハッピーになれない!
現在進行形の物語口調ではあるけれど、ヒロインは最初から最後ま
他方、「何か勝利や達成をすることが重要ではない」物語なので、
主人公(男性)にとっても、あまりハッピーになれない!
飛行機は人類の夢と狂気の象徴ではあったけれど、
「夢は叶う、良かったね」という終わり方でもない!
じゃあ、僕らはこの映画をみて、
どういう生き方を持ち帰れば良いのか。
個人的には、
3.律儀に真面目に
…という最初に纏めた骨子の言葉の一つが重要だと思っている。
主人公は、最初から最後まで真面目で律儀である。
裕福な家出身というのもあるけど、
言葉遣いも姿勢も、震災での手助け、仕事に対する姿勢も、悩み方
恋愛の姿勢も、真面目で律儀そのものであった
(彼が完璧である必要は無く、彼と彼女なりの誠意があれば、この
なので、●●さんが納得できる答えではないかもしれないけど
「疑問や矛盾や不条理をかかえながらも、律儀に真面目に生き抜い
ってことを心にとめて生きればいいと思うのだー。
描いている時代が男性社会で、さらには、上記理由でヒロインの生 き様があまり描かれていないけれど、男女共通のメッセージだと考 える。
以上
100年後の皆さんも興味あれば鑑賞されたし。
[DIARY 筆者の思い出]
劇場で鑑賞。
[RECOMMEND 現在と未来へのオススメ度]
FOR A.D.2,012 : ★★★★★
FOR A.D.2,112 : ★★★★
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written by kiyasu 2013/7/31 第一稿
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