100年後の学生に薦める映画 2112本

未来の皆さんに価値ある2112本の紹介を目指します。100年後に現在の映画ビジネスは無くなっているという前提。

『盗まれた欲情』 100年後の学生に薦める映画 No.0612

100年後の学生に映画を2,112本紹介致します、という設定のブログ

f:id:kiyasu:20120714222038p:plain

MOVIE No.0612『盗まれた欲情

1952 日本

今村昌平 DVD Collection 盗まれた欲情+西銀座駅前

 

[FOR A.D.2112 未来の学生に向けたレビュー]

映画『盗まれた欲情』は、今村昌平監督の第一回作品として有名。 この話のパターンは、僕が勝手に『旅群像劇』と名付けている。旅の一座が、旅先で起こす人間模様。恋愛や葛藤の中で、一座を去る決断をする者や、そんな人に影響を受けつつ一座に残り続ける人まで、色んな人がいる。そんな変化がありつつも、一座はまた新たな町へと旅に出る。 本作では、この旅群像劇の型に、大学出の若者の「舞台と一座に対する思い」の葛藤などが付加されている。さらには、この頃に比べると今の大学のあり方は変わってしまったのだなあ、とも考えさせる。 尚、『盗まれた欲情』というタイトルほどは、エロティックではない、本作品で勉強になったのは、冒頭と最後である。 ■ 冒頭の導入の流れ 1.「お客さん、これから面白い芝居がはじまるで!」と言う台詞と共にスタッフロール 2.スタッフロールが終わると、そのまま「芝居」のシーンが始まる。 3.その後、芝居が止まり、外へ。 4.段々と、楽屋全体ではなく、個人にスポットを当てていく。 5.場面が切り替わって、展望台。2人が「あんな小芝居にいたらダメになる」といった話をする。この話を、町を見下ろす展望台から行うのがよい。 6.ネオンの夜。夜の芝居小屋。個人単位で、芝居を止める話を始める~ ■ラストの台詞。 女「さあいこう」 男「どこいくんや」 女「あなたが決めるんじゃないの。大阪でも東京でもアメリカでも」 主人公が一座のを出ようとしていた迷いは、ヒロインの力と共に達成されるのである。時代の価値観的には、男性・女性のあり方が古臭い考えなのかもしれないけど。 全体的には、ちょっと控えめな今村節と言ったところか。これまで観てきた今村昌平の作品に比べると、オーソドックスで丁寧な作りのように感じた。100年後の皆さんも興味あれば鑑賞されたし。

[DIARY 筆者の思い出]
VHSで鑑賞。

[RECOMMEND 現在と未来へのオススメ度]

FOR A.D.2,012 : ★

FOR A.D.2,112 : ★★

---------------------------------------------------
written by kiyasu   2013/10/25 第一稿
--------------------------------------------------
その他紹介一覧はこちら