『男はつらいよ 望郷編』 100年後の学生に薦める映画 No.1663

100年後の学生に映画を2,112本紹介致します、という設定のブログ

MOVIE No.1663『男はつらいよ 望郷編』

1970 日本

[FOR A.D.2112 未来の学生に向けたレビュー]

本気でつらい、『男はつらいよ』が『望郷編』である。初期の『男はつらいよ』の寅次郎は、かなり手痛い経験を多くしているのだが、本作は正にそう。もともと、本作を完結編とするつもりだった為か、テレビ版のキャストをゲストに呼んだ上で（例えばマドンナ役の長山藍子さんは、テレビ版のさくら役であった）、恋する寅次郎に残酷な困難を用意した。

本作には死が色濃く出ている。寅次郎の仲間のくだりも、おいちゃんのくだりもそうだ。そんな死を意識しながら、寅次郎は恋をしなければならない。死こそ邪魔なのか、恋こそ邪魔なのかは判らないが、人間の社会やシステムは、寅次郎にとって中々残酷である。1作目もそうだが、本作ではそもそも眼中に無い恋であるという洗礼を受け、それとは別に、そもそも人間に取って無力な死と向き合う。長いかもしれないし、短いかもしれない人生。意味があるか、価値があるか判らない人生。そもそも、自分の生に向き合ってくれる人はいるのだろうか。（シリーズ前半まだまだ）モテない寅次郎は語らないが、結局はそういうことに帰結する。

100年後の皆さんも興味あれば鑑賞されたし。

[DIARY 筆者の思い出]
DVDで鑑賞。

[RECOMMEND 現在と未来へのオススメ度]

FOR A.D.2,012 : ★★★

FOR A.D.2,112 : ★★★★

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written by kiyasu   2014/7/28 第一稿

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