100年後の学生に薦める映画 2112本

未来の皆さんに価値ある2112本の紹介を目指します。100年後に現在の映画ビジネスは無くなっているという前提。

『レナードの朝』 100年後の学生に薦める映画 No.1720

100年後の学生に映画を2,112本紹介致します、という設定のブログ

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MOVIE No.1720『レナードの朝

1990 アメリカ

レナードの朝 [Blu-ray]

[FOR A.D.2112 未来の学生に向けたレビュー]

100年後にも、死はあるし、病気はあるし、自殺はあるだろう。弱者も、心が弱い人もいるだろう。個人ではどうすることもできないこともあれば、人類でさえもどうすることもできないことがあるだろう。無力さがあるだろう。
 
もし、あなたがその無力さを忘れるのなら、『スーパーマン』のような、何でもできる超人が主人公の、ハチャメチャな娯楽映画を見れば良い。ただ、その心を前進させたいのであれば、たまには、ロビン・ウィリアムズ氏が出演していたような、ささやかな前進と幸せをふりまく映画を観るべきであろう。
 
2014年8月11日。その、俳優のロビン・ウィリアムズ氏が亡くなった。
鬱病と戦っており、自殺であったそうだ。
 
ウィリアムズ氏は、一部の作品を除けば、善良で、ときに陽気で、悩みつつも、周りの人を幸せにする役柄が多かった。米国オバマ大統領が、彼の死について言及したのも、このキャリアが影響してのことであろう。
まず、そんな氏の出演作品群を思い起こす。
『グッドモーニング,ベトナム』『いまを生きる』レナードの朝フィッシャー・キング』『ミセス・ダウト』『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』。この辺だろうか。
 
彼の鬱病と自殺の報道の後で観ると、中でも『レナードの朝』は、一番考えさせられる作品なのではないかと思う。何故なら、氏が演じたのは、奇跡と無力を体感した医者の役であったからだ。実話の治療の記録を原作をとした、フィクションである。患者との交流によって、他者と触れ、生きる美しさまで感じることができるようになる男の物語。
 
大学にて色んな学問をつまみ食いしていた筆者は、本作をとある授業の課題映画として観ることになった。何度も観たい作品だとは思えなかったが、無力な人類の、ささやかな進歩の一部分を切り取ったような映画だと思った。
 
ロビン・ウィリアムズ氏が実際どんな人であったかは判らないし、どのような闘病生活だったのかも判らない。自殺が巨悪だとも筆者は思わない。死は後退というよりは前進だと思うくらいだ。ただ、ロビン・ウィリアムズ氏の死は、再び筆者に、どこか『レナードの朝』の主人公が直面して行く、あの無力さを思い起こさせた。
 
彼の死が、ニュースやネットのコミュニケーションをざわつかせても無力だ。
彼の死により、米国大統領からの追悼の言葉が出ても無力だ。
 
勿論、生前のロビン・ウィリアムズ氏が演じる役であればどうするであろうかと考えることは出来る。そんなことを考えることもできる。まさに、ささやかな前進と、幸せの振りまきを見せてくれていた。ただ、今となっては、むなしいと言えば、むなしい。意味があると言えば、意味がある。気分による。万能の作品などないのは、当たり前だからだ。
 
怒られるかもしれないが、きっと、聖書でも、無力なことはある。ただ、結果、何かの前進に立った事象は沢山ある。聖書を作れとは言わない。ただ、商業的に成功するか否かはともかく、人々に前進するきっかけを与える作品を作る人は、未来の学生からも出つづけてほしい。
 
100年後の皆さんも興味あれば鑑賞されたし。
 

[DIARY 筆者の思い出]
DVDで鑑賞。

[RECOMMEND 現在と未来へのオススメ度]

FOR A.D.2,012 : ★

FOR A.D.2,112 : ★★

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written by kiyasu   2014/8/13 第一稿
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