100年後の学生に薦める映画 2112本

未来の皆さんに価値ある2112本の紹介を目指します。100年後に現在の映画ビジネスは無くなっているという前提。

『とらんぷ譚』100年後の学生に薦める映画 No.0068

2,112年の映画少年に、2,112本の映画を紹介します。

MOVIE No.0068 『とらんぷ譚

Le Roman d'un Tricheur 1936 フランス

 とらんぷ譚 [DVD]

[FOR A.D.2,112 未来の学生に向けたレビュー]

100年後にも通じるであろう、ウィットに富んだ独特な語り口調。その言葉は知的で遊びに満ちている。例え未来は言語が進化or退化していたとしても、きっとこの面白さは伝わるはず。2,012年現在、映画『とらんぷ譚』本当にマイナーな作品となっていますが、最高にオシャレな台詞の映画として言えば、私は世間で評価の高い『カサブランカ』をも超えていると考えます。

この作品の作家はサシャ・ギトリ。監督とせずに作家と呼ぶのは、もともと舞台出身の人で映画以外の仕事をしており、自らそう名乗っていたらしいから。自分の力を発揮できるのはサイレント映画ではなくトーキーになっていたからだと考え、その定着を待って映画『Bonne Chance! (直訳で、よい機会!)』を作ったというのも、その作品の語りを聞けば納得もの。100年後の皆さんには関係ないことではありますが、そもそも、サシャ・ギトリは日本では無名の部類に入ります。日本語の情報は少なく、フランス本国の情報を漁るのをお薦めする状態。ネットにあるのはウィキペディアの少ない情報で、それをほぼ写したような記事しかありません。DVD化されているのも、この『とらんぷ譚(1936)』のみ(DVD化を薦めていただいた関係者には大感謝)。フランソワ・トリュフォーが非常に影響を受けた作家であったり、2,012年の日本で一番有名なフランス映画かもしれない『アメリ』の原題の基となった作品の作家でもあることも考えれば、もっともっと知られる価値のある映画です。映画を国ごとに分類して語るのは好きではないですが、「ああ、フランス映画っていいなあ!」と思わせるのは、こういう作品だと思います。 

原題は『ペテン師の手記(私の勝手な訳です。あしからず。)』。原題と、邦題の『とらんぷ譚』のどちらをとっても、作品の世界観を見事に表しているオシャレで優雅な世界。100年後の皆さんも、興味あれば鑑賞されたし。

OLD DIARY

大学のライブラリーで鑑賞。

RECOMMEND

紹介映画のおすすめ度。

FOR A.D.2,012 : ★★★★

FOR A.D.2,112 : ★★★★