『ファウスト』100年後の学生に薦める映画 No.0033
2,112年の学生に映画を2,112本紹介致します、という設定のブログ。
No.0033 『ファウスト(1926年・ドイツ)』 改訂版ver1.1
Faust
[FOR A.D.2,112]
F・W・ムルナウ監督がゲーテの『ファウスト』を壮大に映像化した作品。
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筆者が分析するに、1920-1930年代のドイツ映画は、地下室の染み、煙、そして闇の世界が大変映える作品群を生みだしています。判りやすいのは『ドクトル・マブゼ』シリーズ。そして今回紹介する『ファウスト』では、そんな世界が空の彼方まで広がっています。それを想像するだけで、私は心の躍動が止まりません。広がるペスト、悪魔、城、ダンジョンのような町並み、フードを被った人間達。これらを、興味深い動きやカメラワークで魅せてくれます。
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この映像の見せ方を、安直な擬音で再現するなら「ぬあ―」「どおお」という表現に近いかもしれません。サイレント映画ですが、まさにそんな音が聞こえてきそうです。その表現・世界観には圧倒されますし、観ていて楽しいはずです。
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残念ながら、全ての人を満足させられる作品とは言えません。例えば、原作に忠実なストーリーではないことに不満を覚える人がいるかもしれません。また、最後の締め方を単純に見せない工夫をしてほしかったという欲を抱く人もいるでしょう。実際筆者も鑑賞時、そのような感想が出てきたという事実があります。さらに、当時の映画は技術的にも情報受容のスムーズからしても穴だらけです。100年後の皆さんなら、なおさらではないでしょうか。
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しかし、こういう作品の弱点を除外視して、良いところに注目して愛せるようになると、楽しめる作品の幅が広がると筆者は考えます。是非映像に快感を感じてみてください。
100年後の皆さんも、興味あれば鑑賞されたし。
Written by kiyasu
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[OLD DIARY]
大学のライブラリーで鑑賞。
[RECOMMEND]
紹介映画お薦め度
FOR A.D.2,012 : ★★★★
FOR A.D.2,112 : ★★★★