100年後の学生に薦める映画 2112本

未来の皆さんに価値ある2112本の紹介を目指します。100年後に現在の映画ビジネスは無くなっているという前提。

100年後の学生に紹介する映画!『悪い奴ほどよく眠る』

2,112年の学生に映画を2,112本紹介致します、という設定のブログ。

No.0032 『悪い奴ほどよく眠る(1960年・日本)』

The Bad sleep well

悪い奴ほどよく眠る [Blu-ray]

 

[FOR A.D.2,112]

世界で最も有名な日本人監督。それが黒澤明監督です。全ての監督作品が観るに値します。2,112本の紹介でも、30本に及ぶ全作品を紹介したいと思うくらいです。では、全作をお薦めする前提で、100年後の皆さんにどの作品から観始めるよう薦めればいいのか。これが大変難しい。有名な人気作は、『七人の侍』『生きる』『隠し砦の三悪人』『用心棒』『隠し砦の三悪人』『羅生門』『天国と地獄』『蜘蛛の巣城』の8つ。私もこれらを最初の方に鑑賞し、圧倒されました。しかし現在振り返ってみると、これらの作品はもっと映画を勉強した後に観た方がよかったのではないか、という残念な気持ちがあります。なぜなら、もっと多様な作品に触れた後で(映画の良い作品が判ってきたあとで)、あまり人気がないとされる黒澤監督の他作品に手を伸ばしたときの方が、黒澤監督の人気作を観ていた頃よりも、心が悶えるほどに圧倒されていたからです。

従って、早くに有名作品を観て欲しい一方で、辛抱できるのなら知名度が低い作品から観始めた方が楽しめる可能性がある、というジレンマがあります。勿論、人気作を先に観たからこそ、知名度が低い作品の良さも判り易かったとも言えるので、一概に何が正しいとは言えません。前者を先に観た人はもっと他にも面白い作品があることを知ってほしいし、後者を先に観た人はさらに面白い可能性がある作品があることを意識してほしいです。

『悪い奴ほどよく眠る』は、知名度は低めですが、様々な有名作が生みだされた時期の間で作られた作品です。具体的には、『隠し砦の三悪人』と『用心棒』の間に作られました。私が有名作を一通りみた後にみた作品です。前述のように、何年も前に観た『七人の侍』よりも黒澤明監督の凄さが判るときに観ました。その圧倒のされ方、気持ち良さといったらありません。

黒澤監督としては不満が残る作品だったという記述も残っていますが、私は本作によって黒澤監督がさらに好きになりました。まだ黒澤監督の観ていない作品が一杯あることが嬉しかったし、早く観なければだめだと思いました。一方で、そんな作品を全部見終わってしまう寂しさもありました。尚、私が本作が好きになったのは、時代の影響もあるかもしれません。復讐を誓う主人公、敵は個人と言うよりも社会、というのは2,005-2,010年頃の方が受けいれられやすい構造だったと言えます。

 

100年後の皆さんも、興味あれば鑑賞されたし。

 

Written by kiyasu 

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[OLD DIARY]

大学のライブラリーで鑑賞。1日映画を11本観ていた日。本作と『酔いどれ天使』を初見で連続鑑賞できたなど、贅沢の極みであったと言えましょう。

[RECOMMEND]

紹介映画お薦め度

FOR A.D.2,012 : ★★★★★

FOR A.D.2,112 : ★★★★