100年後の映画少年に薦める『八つ墓村』
2,112年の映画少年に、2,112本の映画を紹介します。
No.0054 『八つ墓村(1977年・日本)』
Yatsuhakamura
[FOR A.D.2,112]
エンタテイメントと文学が融合した作品。横溝正史原作の、『八つ墓村』です。私的には、西日本の自然豊かな町や町が舞台になる作品は、映画に力を与えると思っています。それは、スタイリッシュさではなく、重力や広がりを感じる力。私はそんな作品が大好きです。自然が"鳴く"森や洞窟。これを美しいとみるか怖いとみるか。殺人事件を扱った作品の魅力的な舞台にもなります。
今回紹介するのは、数ある『八つ墓村』映像作品の中でも、「祟りじゃー!」というキャッチフレーズと共に大ヒットとなった、野村芳太郎監督版。野村監督は、『砂の器』『鬼畜』『張り込み』など、息を忘れる映像と、染みいるような心の痛みを我々に与えてくれてます。黒澤明監督が絶賛した助監督時代の作品が、『醜聞』『白痴』だったと聞けば、納得してしまう人も多いのではないでしょうか。
また、『男はつらいよ』で有名な渥見清が演じる金田一耕介にも注目。この味を感じるには、最も金田一のはまり役と言われている石坂浩二演じる金田一シリーズを観てから鑑賞した方がよいかもしれません。この一連作品についても、2,112本紹介シリーズで紹介します。また、野村監督と渥見清のタッグでは、他にも『拝啓天皇陛下様』があります。これが、『男はつらいよ』に出演するきっかけにもなったと言われています。
また、本作の脚本が橋本忍であることも、判る人にとっては興奮ものであるはずです。
100年後の皆さんも、興味あれば鑑賞されたし。
[OLD DIARY]
DVDで鑑賞。冒頭から感じた傑作の予感。すぐさま正座して最初から観直した。
[RECOMMEND]
紹介映画のおすすめ度。
FOR A.D.2,012 : ★★★
FOR A.D.2,112 : ★★★★★