『関の彌太ッペ(1963年)』 100年後の学生に薦める映画 No.2112
100年後の学生に映画を2,112本紹介致します、という設定のブログ
MOVIE No.2112『関の彌太ッペ(1963年)』
1963 日本
[FOR A.D.2112 未来の学生に向けたレビュー]
さて、最後の2112本目の映画に紹介するのは、1963年公開の『関の彌太ッペ』である。1本目に紹介した『関の弥太っぺ』のリメイクである。リメイク版とオリジナル版で好みはわかれるだろうが、日本映画の隠れた最高傑作の一つであると思う。筆者の友好関係の問題かもしれないが、筆者の同世代で本作を語る人と出会ったことがないほど、知名度は低い(本作に限らず、総じて古い映画を語る人はいなくなっているが)。だが、傑作である。
この映画は、ある少女のおぼろげな記憶の中の恩師の繋がりの物語である。日本映画の、知る人ぞ知る名作である。リメイク前の作品より、少女と恩人の物語に描写を絞ったものとなっている。少女と恩人の関係は、過去と未来、滅び美学を描いていて美しい。何より、リメイク版は、死を色濃く出した作品である。この『関の彌太ッペ』は日本映画が大きく力を失う時期に作られた。だからこそ、余計に感傷的になる。
最後だし、ちょっと脱線する。映画と恩人の話だ。
映画は、沢山の人によって生み出される。そレだけでなく、映画の魅力を伝える行為も、沢山の人によって行われている。伝える人がいなくなり(残念だが、人は死んでいく。文字や映像で残ることはあるが)、受け取る人がいなければ、その映画は、極論を言えば死を迎える。
筆者はいろんな映画の伝道師たちに出会った。あるとき急に仲良くなった知人だったり、故人の映画評論家が残した記述だったり、インターネット上での不思議な繋がりだったりもした。見知らぬ人から、よく知る人、当時何を考えていたのか今何をしているのか未だにわからない人もいる。一期一会であったが、皆、恩人である。筆者は、立派なものは未来に存在を残したいと思う。多くの恩人に受け取った恩は、未来に繋げたい。主人公"彌太ッペ"の、最後の後ろ姿を見ながら、そう思った。
100年後の皆さんも興味あれば鑑賞されたし。
[DIARY 筆者の思い出]
名画座で鑑賞。
[RECOMMEND 現在と未来へのオススメ度]
FOR A.D.2,012 : ★★★★
FOR A.D.2,112 : ★★★★
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written by kiyasu 2017/8/16 第一稿
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