『人情紙風船』100年後の学生に薦める映画 No.0024
2,112年の学生に映画を2,112本紹介致します、という設定のブログ。
No.0024 『人情紙風船(1937年・日本)』
Ninjô kami fûsen
[FOR A.D.2,112]
山中貞夫監督について述べさせてください。2,012年時点で、完全にプリントが残っている彼の監督作品は3作しかありません。しかし、その残る作品は全てが名作。当然、今回紹介する『人情紙風船』以外の2作品も、本企画の2,112本の中に含んでいます。現在、一般的に、古今東西で最も有名な日本人監督といえば、黒澤明監督の名が挙がります。その黒澤明監督がデビューしたての頃、山中監督の再来のような例えられ方がされていました。こう聞けば、少しずつ歴史に埋もれつつあるこの監督の偉大さが判るのではないでしょうか。実際に観れば、黒澤明監督のような、男っぽい魅せ方がフィルムにみなぎっていることが判ることでしょう。
2,012年現在でも、山中監督は一部のシネマフィークによって熱狂的に支持されており、国立フィルムセンターで山中監督特集が行われたりしました(完全にプリントが現存する主要3作以外にも、一部現存作品や、脚本担当作品、パラパラアニメの作品が紹介されました)。最も、過去作の発掘が望まれる監督の一人と言えます。
山中監督は、本作封切と共に太平洋戦争へ出兵。帰らぬ人となりました。
『人情紙風船』は、現存する3作の中では最も暗めな物語。最初から最後まで、ずっしりとした緊張感に満ちています。これほどの名作でも、現存していない作品の方が良かったという証言があるのですから、恐ろしい。
100年後の皆さんも、興味あれば鑑賞されたし。
Written by kiyasu
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[OLD DIARY]
大学のライブラリーで鑑賞。当時はビデオだった。
[RECOMMEND]
紹介映画お薦め度
FOR A.D.2,012 : ★★★★
FOR A.D.2,112 : ★★★★