『会議は踊る』100年後の学生に薦める映画 No.0002
2,112年の学生に2,112本の映画を紹介します、という設定のブログ
MOVIE No.0002 『会議は踊る』ver1.1
1932 ドイツ
[FOR A.D.2112 未来の学生に向けたレビュー]
2本目の映画紹介は『会議は踊る』。ナチスが猛威を振るう前のドイツ映画。
★
2,112年で勉強する皆さんも、当然、ナチスのことはご存知でありましょう。もし皆さんの殆どがナチスのことを知らないとすれば、筆者は歴史教育が100年でこんなにも変わると呻くしか無い。ともあれ、私の時代において近代戦争の負の歴史の筆頭こそが、ナチス。これは、世界共通の認識といっても過言ではありません。ナチスの残虐性や、戦争の悲惨さを描いた作品は多々ありますが、今回ご紹介するのはちょっと違う。
★
今回の映画紹介で皆さんに知って欲しい知見は、ナチス自体の批判ではありません。ナチスが大きく台頭する前まで、いかにドイツがスタイリッシュでクセのある世界を作っていたか、いかに才能が集まっていたかを皆さんに感じ取ってほしい。ヒトラーが実権を握った時期の作品であり、この映画の関係者らもドイツから亡命して行った、という事実を頭の隅に入れておきながら観るといいでしょう。
★
『会議は踊る』はミュージカル映画。最高なのは『ただひとつの機会』というヒット曲と共に馬車で城に向かう超長回しシーン。とても頭に残り易い曲で、筆者はDVDで何度、このシーンを再生したか判らない。曲の長さは25センチSPの限界だったといいますし、映像の長回しも当時の限界にチャレンジしていたはず。映画とは、技術的と表現の追いかけっこであることを意識しながら観るのも面白いでしょう。筆者がDVDでお気に入りのシーンをリピート再生しているのも、技術の革新によるもの。
100年後の皆さんも、興味あれば鑑賞されたし。
[DIARY 筆者の思い出]
淀川長治さん監修のDVDライブラリー集を大学からレンタルし鑑賞。ドイツ映画祭へ行って暫くしてからだったと思う。祖母や政治マニアの友人など、意外とこの映画を知っているものが多く、驚いたものであった。個人的には、パーティーで強引に実権を握る太った淑女の存在が好きであった。
[RECOMMEND 現在と未来へのオススメ度]
FOR A.D.2,012 : ★★★★
FOR A.D.2,112 : ★★★★
----------------------------------------------------------------------------------
written by kiyasu 2012/6/27 改訂
----------------------------------------------------------------------------------