100年後の学生に紹介する!『山椒大夫』
2,112年の学生に映画を2,112本紹介致します、という設定のブログ。
No.0041 『山椒大夫(1954年・日本)』
Sansho dayu
[FOR A.D.2,112]
文明が発達するに連れて、本作のような作品を作る発想が生まれにくくなるのではないでしょうか。例えば、冒頭の離れ離れになるストーリーは、携帯電話などのコミュニケーション機器が発達している世界では起こりにくいものです。奴隷のような身分格差も同様です。
作品の種類にもよりますが、私は物語は格差や障害の設定があってこそ力強く見えることがあると思っており、残念ながら2012年現在、それを感じさせる作品は少しずつ減ってきています。100年後の政治状態によっては逆行する可能性もあるでしょうが、基本的には、今の傾向はより強くなるでしょう。そういう点で、100年後の学生には本作『山椒大夫』の凄みを感じてほしい。
さて、溝口健二監督作品の中では、2012年の日本では『雨月物語』『西鶴一代女』の方が評価されている印象がありますが、私はまず、本作をお薦めしたい。スケールの大きい人生のドラマ、今では撮影することも難しいかもしれない雄大な景色、そして格差のある不条理な人間世界。同時代で人気のある黒澤明監督でさえも、ここまでの掘り下げ方はできなかったと言えるのではないでしょうか。
同じ題材で、東映アニメーションより『安寿と厨子王丸』が作られていますが、本作の方が遥かに高い完成度となっています。
100年後の皆さんも、興味あれば鑑賞されたし。
[OLD DIARY]
大学のライブラリーにて鑑賞。
[RECOMMEND]
紹介映画お薦め度FOR A.D.2,012 : ★★★★
FOR A.D.2,112 : ★★★★★