100年後の学生に紹介する!『赤ちゃん教育』
2,112年の学生に映画を2,112本紹介致します、という設定のブログ。
No.0038 『赤ちゃん教育(1938年・アメリカ)』
Bringing Up Baby
[FOR A.D.2,112]
100年後の皆さんは、スクリューボール・コメディというジャンルをご存知でしょうか。知らなくても、不思議ではありません。何故なら、私がこの文章を書いている今でさえ死語となっている、過去の作品群を指す言葉だからです。具体的には、個性の強い常識外れの"変人"が、周りを振り回しつつ、または喧嘩しつつも進むドタバタの物語を指します。そんな"変人"を含めた男女が喧嘩しつつも恋し合い、最後はハッピーエンドとなるのが基本パターンです。もともとは、映画の倫理規制が厳しかった時代、表現ができない肉体的な愛の前の過程で作品を作り出す為に生まれたジャンルだと言われています。その規制が緩和されたことにより、衰退化し、スクリューボールコメディという言葉は使われなくなったのです。
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しかし私は、1,930-40年代から遠く過ぎた2,000年代の日本において、スクリューボールコメディーの全盛期が興っていると考えます。映画というよりも、秋葉原文化を中心とした、アニメ、漫画、ライトノベルという分野においてです。強烈な個性を持った"変人"の少女が、周囲や客観的な男主人公を振り回し、多くは恋愛を匂わせたイベントが発生します。判り易い例では、オタク文化の象徴となった、『涼宮ハルヒの憂鬱』などが挙げられます。こうした作品は、まさにスクリューボールコメディと言えるのではないでしょうか。ツンデレという言葉が生まれたのもこの秋葉原文化に寄るものですが、それを踏まえて過去のスクリューボール・コメディに登場する映画ヒロインを並べると、多くがツンデレに分類できると言えます。2,000年代の秋葉原中心のカルチャーに興味を持った方は、それより60年に近く前に作られた上質な喜劇に触れてみてはいかがでしょうか。
本項で紹介するのは、『赤ちゃん教育』。私は当時の映画で、これ以上テンポの良いスクリューボール・コメディを知りません。演技は女優のキャサリン・ヘップバーンと、ケーリー・グラントが主演となります。二人とも、最高に生き生きとした演技をしています。これが面白ければ、『ある夜の出来事』、一つランクを落として『ヒズ・ガールフライデー』がお勧めです。また、共通点が多い作品として『毒薬と老婆』も挙げられます。
100年後の皆さんも、興味あれば鑑賞されたし。
Written by kiyasu
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[OLD DIARY]
近所のDVD屋でレンタルしました。余談ですが、最後にたくさんの登場人物が大集合する状態を私は勝手に「赤ちゃん教育状態」と呼んでおり、友人宅でいつの間にか知り合いが詰めかけた状態のときに、「赤ちゃん教育状態じゃないか!」と叫びました。
[RECOMMEND]
紹介映画お薦め度
FOR A.D.2,012 : ★★★★
FOR A.D.2,112 : ★★★★